頭(脳)のはたらきは、生活習慣で変えられる
20代の頃まで私は、器用さ・不器用さ、得手・不得手、運動神経や記憶力の良し悪しなどすべて、遺伝によって決まる、と思っていました。だからこれ以上やっても伸びない、私の上限は決まってる、と思っていました。
違いました。
色鉛筆アートを知ったことがきっかけで脳のしくみについて調べ、そして自分の実体験を経て、脳のはたらきは“生活習慣”によって変わることが分かりました。
子供の頃は私は無口でおとなしく、学校へ行かなければいけないから行き、しなければならないから勉強をする、ただ言われたことをする、そんな消極的な性格で、絵に興味もなく、何事に対してもあまり面白いと思うことが無く、学校のクラスメートから「イクタさんって笑わない人間」と言われたことがありました。
けれど、25歳の時に色鉛筆アートに出合い、30歳の時に真剣に色鉛筆で絵を描き始めてから、“自然”や、“光と影”をよく観察するようになり、観察していると疑問を感じることが多くなり、それで好奇心が旺盛になっていきました。
30代の頃は今のように、疑問を持てば何でもググる、という習慣がなく、ひとまず書店へ行って本を見ることが増え、そしてたまたま目に入った『脳は疲れない』(新潮文庫)を読み、脳のしくみを知るようになりました。
そして、脳に関する記事や色んな本を読み、私の性格が大きく変わった理由が腑に落ちました。
脳の構造は複雑でも仕組みはシンプル
脳は左脳と右脳に分かれ、大脳(前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉)、間脳(視床脳、視床下部)、脳幹(中脳、橋、延髄)、小脳があります。
脳全体の大きさは子供と成人では異なりますが、脳の「神経細胞/ニューロン」の数は、生まれてからほぼ変わらないと言われています.
成人それぞれ大きく異なるもの、それは「シナプス」の数と太さ。
シナプスは、神経細胞同士のつながりです。
脳が刺激を受けると、神経細胞からアドレナリンやドーパミンなど、100種類以上あると言われる神経伝達物質が放出されます。
そして、それらの伝達物質を受け取るために、神経細胞が突起を伸ばし、神経細胞と神経細胞がつながり、シナプスが増え、あるいは太くなります。
知らなかったことを知り「あ~あ!/aha! 」と感じ、アハ体験を得て納得し、あるいは喜怒哀楽を感じて、神経伝達物質が放出されることになります。
できる、できないは「シナプス」の数と太さで決まる
例えば、自転車に乗れるように何度も繰返し練習する時の脳内では、乗れるように思考する脳の分野(大脳など)が働きます。また身体を動かすための脳の分野(小脳など)が働きます。
自転車に乗れるように手足や眼球を使ってバランスを取り、何度も何度も繰返し練習し、各分野の神経細胞から伝達物質が放出され、そして神経細胞が数多くつながり、自転車に乗れるようになります。
繰返し練習して乗れるようになった自転車の乗り方は、健常である限り、忘れることはありません。あるいは、小学校で習ったひらがなやカタカナや簡単な漢字を、忘れることはありません。
繰返し行なう習慣や心地良い刺激によって、シナプスはつながり、ネットワークは広がります。ネットワークの広がりそのもの、それが、知識や知恵を得た証です。
それはまるで、電車の路線が多いほど、また高速道路やバイパスがつながるほど、目的地へ速く辿り着くことができる、辿り着く手段が増える、ようなものです。
けれど逆に、不慣れな機械操作や外国語などは覚えにくく、また忘れやすいもの。
脳が心地良さを感じなければ、あるいは過度のストレスを感じると、興奮性の神経伝達物質は分泌されにくく、抑制性の情報伝達物質が放出され、シナプスはつながりにくくなり、折角つながっていたシナプスが途切れてしまったりもします。
脳は自分で変えられる
私がドイツのワーホリで絵を描くことに専念し、好きな自然に囲まれ生活していたある日、「あ、シナプスつながった!」と感じたことがありました。
今まで人と話をしていても「イエス」たまに「ノー」で返事をする程度だった私が、相手に質問する言葉がスラスラ出て、会話のキャッチボールができた時に、そう思いました。
絵を描くことに熱中していた当時、私は、あまりに描きたいものが多すぎて、イヤなものに目が行くことがなく、好きな音楽を聞きながら毎日絵を描き、幸福を感じ、頭の中で‘幸せホルモン(伝達物質)’が出まくっていたと思います。
そんな満たされた状態で、絵をうまく描きたい!とあれこれ思考することによって、言語を司る分野でも‘幸せホルモン’が出てシナプスがつながり、そして「言葉」が口から出やすくなったのだと私は思っています。
興味や快楽や苦痛など、人がどう感じるか、どう捉えるかは、人それぞれ違います。
キライなものは嫌い。嫌いなものを無理矢理スキになろうとすると、それはそれでストレスになります。
でも幸いなことに、人は一度に一つのことしか考えられません。
だから、私はイヤな事は考えないようにして、考えそうになったら頭をブルっと振って、スキな物に目をやるようにしています。スキな事を考えるようにしています。
好きな音楽をかけ、好きなスイーツを買いに行く予定を立て、日帰りで行ける温泉をGoogle Mapで探したり、次に描く絵や次に作るYouTube動画のことを考えたりしています。
考えるのは自由です。
“科学的事実”は更新される
シナプスのつながりは、いわゆる脳のシワです。健康な脳には、左右バランス良くシワがあり、ネットワークが張り巡らされています。
その脳のシワそのものが、記憶そのものであると科学でも言われています。
神経細胞同士のミクロなつながり
|京都大学総合研究推進本部|
https://note.com
記憶のメカニズム
|WIRED|
https://wired.jp
脳はこうして記憶する
|日本学術会議|
https://www.scj.go.jp
海馬とは
|Brain Suite|
https://brainsuite.jp
かつて、脳の神経細胞は死滅すると、新たに補われることはないと考えられていましたが、近年の研究によって、年齢に関係なく、「海馬」で神経細胞が新生されることが解っています。
海馬は、物事を一時的に“記憶”する場所。
そして、その“記憶”という「刺激」が繰返されることによって、シナプスがつながり、長期的な記憶として、脳の各分野で、保たれることになります。
仮に、一夜漬けで試験勉強の暗記をしても、試験が終われば忘れます。一度や二度の絵画レッスンやスポーツや楽器の練習では、すぐに上手くなることはありません。
それは、シナプスのつながりが、簡単には出来ないためです。
同じヒトなのに?同じヒトだから?
たとえば音楽家の家に生まれた人の脳は、血を受け継ぎ、生まれた時から、音楽を操るシナプスが、既につながっていたかもしれません。もしくはつながりやすくなっているかもしれません。
先祖代々、体質的に生まれ持った情報伝達物質の量や質、先天的なシナプスのつながりやすさが、才能やセンスと言われるものかもしれません。
けれど私はこうも思います。
同じヒトだから、シナプスをつなげる‘仕組み’は誰にでもある。だから私にもできるはず。
その気概だけでできるわけじゃないことも、私は色んな経験を経て知っています。
でもやってみたいと思い試行錯誤を繰返す中で、新たな発見をしたり、感覚をつかめたり、思ってもみなかった経験を得て、幸せホルモンが分泌されたりもします。
そんな幸せを感じていられるように、まずは健康でいるために、そしてシナプスをより増やしていくために、必要な栄養や休養、適度な運動など生活習慣がいかに大切かを、自分次第で自分の人生は変えられるんだと、考えるようになりました。
そして、したくなくて、しなくていいことは、しない、と決めました。
したくなくて、尚且つ、しなくていいことを、する、その習慣を変えるのは、簡単そうで、簡単ではないのですが。
